カナダ人社長が思わず身を乗り出して聞き入ったプレゼン

私の知人で通訳をしている人から興味深いエピソードを聞きました。

彼は先日、外国企業を招致するためのサポートをしている組織が主催するちょっとしたイベントにおいて、通訳をしたそうです。

彼が担当するブースにおける聞き手はカナダ人で、外国のユニークな食材を見つけて輸入するという会社の経営者でした。

そこに、食材を作っていたり、売っていたりする日本の会社の社長が入れ替わり立ち代わり順番に、自社の商材を紹介しに来るという状況でした。

 

  日本人経営者の立場で述べるなら、短時間で自社および自社商品をうまく売り込み、買い手であるカナダ人に「この会社は魅力的だ。ぜひ取引を考えたい」と思わせるための説得プレゼンをいかにうまくできるか、が大事だったわけです。

 そのカナダ人は全く日本語が理解できない。

一方、ブースにプレゼンに来る日本人の社長たちはどの人も英語はうまく話せない人ばかり。

したがってその現場では、日本人社長が基本的に日本語で自社および商品を説明し、それをカナダ人が理解できるように知人である彼が英語に通訳をしたのですが、その中でカナダ人社長が明らかに身を乗り出して、興味深く聞く場面があったそうです。

経営者本人による生の語りは通訳の英語を凌駕する

上記日本人経営者の中に、非常にたどたどしい英語ながら、頑張って自社の紹介を英語でプレゼンした人がいたそうです。

もちろん、その人はプレゼンの全てのパートでなく、自社のミッションや自分が扱っている商品に対する思い等について語るときにのみ、頑張って英語で話した。

 

ミーティング

知人の通訳によると、英語としては、それはそれはひどいものだったそうです。
 ただ、そのプレゼンは話し手の「熱」とともに、聞き手のカナダ人の心に深く刺さったようなのです。

 一連の商談が終わった後、知人の通訳がカナダ人と雑談した際「あの人の話はすごく印象的だった。ぜひ取引を検討したい」と語っていたそうです。

「通訳のどんな素晴らしい英語も、本人による生の語りには絶対に勝てない。ある意味通訳の限界を感じた。」と少し寂しげに話していました。

ミッション・ビジョンプレゼンテーションは、通訳を介してはいけない

このエピソードには非常に示唆に富んだ教訓を示してくれていると思います。 

表面的な理屈だけで考えると、上記の日本人社長の超下手な(失礼!)英語より、プロの方に通訳してもらった方が絶対に安全だし、伝わるはずなのです。

 ところが、実際はそうではなかった。

人と人の対面コミュニケーションにおいて、直接聞き手に語りかけるパワーは並大抵でない、ということ。だから、特に経営者には、通訳を介さず直接自分が英語でプレゼンしてほしいと思います。

 

 ただし、全てのパートを自分で語る必要はありません。

私自身、経営者に対して英語プレゼンの個別指導をしているのですが、

そこでいつも言っているのが、「自社のミッションとビジョン、そして事業に懸ける自分の思いに関しては、自分でプレゼンしましょう。あとのパートは通訳や英語のできる社員に任せればいいのです」というもの。

 

 経営者として語るべき根幹のパートだけ英語(他人に翻訳してもらって全然かまいません)に直して、しっかり自分の言葉で話せるまで徹底的に練習をし、語ってみてください。その効果に驚くはずです。