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from 西野浩輝

ある程度以上の経験を持ったビジネスマンであれば、新人をはじめ若手社員向けにスピーチを行う機会があると思います。

出来ればあなたの話に興味をもって、また若手社員にとって今後の仕事のためになる、彼らをインスパイアするようなメッセージを伝えたいですよね。

でも、何をどう話せばいいのかと考えると……。意外と悩みますよね。

そこで以下に、若手社員に講話を行う際の「ネタの選び方」と「話の展開のさせ方」のポイントについて、具体的にお伝えしたいと思います。

大切なのは、彼らの目線にまで降りていくこと

私は、社長や役員、中間管理職といった立場にある人が、歳が離れた若い人に向けてスピーチをするときには、「彼らの目線にまで降りていくこと」が、まずは大切だと考えています。

若手社員にとってみなさんは、雲の上の人といっても大げさではない存在です。

だから今のその立場から、「社会人たるものは…」「若手社員というものは…」といった訓示をいくら垂れたとしても、若手社員にはピンと来ない可能性があります。

「何だか偉い人に説教をされてしまったな」と思われるだけかもしれません。

そこで若手社員の目線にまで降りていくことが大切になるわけです。

今はどんなに偉くなった人でも、必ず新人や若手社員だったときがあります。
当時はまだ未熟で、いろんな失敗や挫折をすることも多かったのではないでしょうか。

私のオススメは、そんな未熟だった頃のエピソードを講話のネタにすることです。

例えばもしみなさんが、

・営業部に配属になったのに、最初の頃は全然売れなかった
・取引先をカンカンに怒らせてしまい、上司に一緒に頭を下げにいってもらった

といったエピソードをお持ちでしたら、ネタとしてバッチリです。

こうした話をすることで、若手社員からすれば、「雲の上の人」のように見えていた人が、急に身近な存在に感じられます。

「もっと話を聞いてみたいな」という気持ちになります。

自分の成長の歩みを、ストーリー仕立てでありありと語る

さてみなさんは、最初は未熟だったとしても、いろいろな努力や工夫を積み重ねるなかで、成長を遂げてこられたのだろうと思います。

中には「あの壁を乗り越えたときに、自分もやっと一人前になれた」というような、はっきりとしたターニングポイントをお持ちの方もいるでしょう。

そこで講話では、未熟だった頃の自分を語ったあとには、そこからどんな努力や工夫をし、またどのような出会いやドラマがあって、今の自分に至ったかを、ストーリー仕立てで語っていきます。

人の心を打つストーリーには、適切な展開のセオリーがあります。

それは、

1.主人公(ここでは話し手=みなさん)の志や欲求を語る
2.主人公の前に立ちはだかった壁や挫折を語る
3.主人公がその壁に立ち向かい、乗り越えた過程を語る
4.壁を乗り越えたことによって、成長できた主人公の姿を語る

というものです。

みなさんもご自身の経験を、このストーリーのセオリーに沿って再構成してみてください。そして若手社員向けの講話で、彼らに向かって語りかけてください。

すると彼らにとっては、今、目の前にいる立派な人生の大先輩が、実はかつては、今の自分と同じように未熟な若者で、その若者が、一つひとつ壁を乗り越えながら成長を遂げていった様子を、ありありとイメージすることができます。

つまりみなさんの講話を、自分のこれからのビジネス人生と重ね合わせながら聞くことができるわけです。

これ以上にないインパクトを、若手社員にもたらす講話になるはずです。

そのためにもまずは、ご自身の若い頃の出来事をがんばって思いだしてみてください。

単に講話に役立つだけではなく、ご自身のビジネス人生の棚卸しをするうえでも、よい機会にもなると思います。